吉祥寺って、そこに住んでる人が一番魅力的なんだ
DRIP MAGAZINE代表 中村高太郎

吉祥寺って、そこに住んでる人が一番魅力的なんだ
DRIP MAGAZINE代表 中村高太郎

 

 2月の初め。今日は少し春が顔をチラッと見せたような気がするくらい暖かい。私の好きな映画館、UPLINK吉祥寺があってよく行く、吉祥寺駅の北口で待ち合わせしていたのは、このDRIP MAGAZINE代表の中村高太郎さん(23)。彼は「吉祥寺の人の魅力」を伝えるメディアとして2020年6月にDRIP MAGAZINEを立ち上げた。「DRIPを通して人と人とのつながりを作り、そこで暮らす若者たちの新たなカルチャーを生み出したい」と熱っぽく語る彼に、DRIP MAGAZINEのはじまりについて聞いてみた。

ーDRIP MAGAZINEが誕生した経緯を教えてください

 まず、自粛で何もできなかった時期に、メンバーのケイスケと「吉祥寺で何かしたいね」って話をして「じゃあサイト作るか」ってなったのが大きなきっかけかな。ケイスケのことは幼なじみのリオから紹介してもらったんだよ。僕が2019年の夏からカリフォルニアに留学することを知ったリオがカリフォルニアにいるケイスケのことを教えてくれて。現地で実際会ってみると、イケイケのインスタからは想像できないくらい謙虚な人で、すぐに仲良くなれた。彼は高校生の時から現地にいたから、僕にカリフォルニアのことをいろいろ教えてくれたね。その後お互いが忙しくなって会うことはなかったかな。初めて会ってから半年くらい後、コロナの影響で僕たち2人とも帰国した。お互い吉祥寺に住んでることが分かったから自粛で何もできないし会おうってなって。ソーシャルディスタンス守りながら井の頭公園で会ったね。ここで2人で「吉祥寺で何かしたいね」ってなってDRIPが始まった。

ケイスケさんと高太郎さんが半年ぶりに再会した場所
井の頭公園の売店

ここで「吉祥寺で何かしたいね」と。
井の頭公園近くの古着屋「NEW YORK JOE EXCHANGE KICHIJOJI」

ーーDRIPって北米で「イケてる」って意味があるって聞いたんですけど、DRIP MAGAZINEの由来はそこから?

 そうそう、英語のスラングでカーディBの曲で使われている単語。サイトの名前はケイスケと考えて、最初DROPにしようと思ってた。でも有名なスナップサイトで使われてる名前だったから、使えないねってなって、DRIPになったのよ。吉祥寺にはたくさんいいコーヒーをいれるカフェがあるからって理由も後付けしたね(笑)

ーーなるほど。ここからメンバーを集めたんですか?

 そうそう。まずは僕たちをつないでくれたリオ。お気に入りのカフェゼノン行って、3人でサイトをつくるにあたって「ああでもない、こうでもない」って話しながらDRIPの大枠を決めていったね。それで僕が「よっしゃ企画書作ろう」って感じで作って。それを持って仲間集めを始めた。まずは高校の同期でグラフィックデザイナーやってるミキ。次に中学で仲がよくて、大学でカメラを勉強してるQue。そして色々管理できる、高校の同期のユウリ、最後に表現の仕方が独特で面白い原色を誘った。こんな感じで7人揃ったね。初期のアベンジャーズみたい(笑)

ーーいま頭の中でアベンジャーズのテーマソング流れました(笑)

 7人揃ってからリリースに向けて準備が進んでいったね。ミキはロゴ含めてデザイン担当、Queが写真を撮って、僕とユウリがサイト作って、みたいな感じ。それにリオと原色が記事を書いていったかな。準備を進めていくうちにコンセプトも固まってきて、6月下旬にリリース。それから実際にいろんな人にインタビューして、今のDRIPがあるね。

よくバイト先の人と行くラーメン屋「洞くつ家」

ここで25:30に食べるラーメンは最高らしい(現在は時短営業中)

ーーDRIP MAGAZINEを通していちばん伝えたいことや届けたいことって何ですか?

 僕が前から思ってたことなんだけど、吉祥寺にパフェ屋さんはたくさんあるけど、パフェを作ってる人を紹介する人のサイトないよね。人が一番魅力的なのにそれを紹介してるサイトはないから、僕ら(20代)の目線から紹介するサイトを作ろうって。そこが吉祥寺の一番の魅力だからDRIPを通して伝えたい。

 やっぱり同じお店に行きたくなるじゃん?チェーン店みたいに、どこでもあって「ここなら間違いないよね」ってお店。でも僕は吉祥寺来たのに、もしくは住んでいるのにチェーン店に行くのはもったいないと思う。それより、ぜひ個人店に足を運んでほしい。まあ個人店に入りにくい理由として、ちょっと敷居高いかなってのがあるよね。お店にどんな人がいるのかなとか、どんな雰囲気なのかなとか。だからDRIPではその敷居を少しでも下げたい。そして、もっとそこにいる人たちを知ってほしい。あと吉祥寺は音楽やマンガ、アニメの発信地でもあり、中央線沿いのカルチャーもあるのに、それを発信したり交流したりする場所があまりない気がする。カルチャーをもつ人が集まることのできる、そんな場所も作りたいね。

ーーDRIP MAGAZINEをこれからどのようなメディアにしていきたいですか?

 交流の場を作って、吉祥寺のコミュニティを作るのが一つのゴール。手っ取り早い話、みんなが友達になれたらよくて。すごく面白い人とか知らない人とかが吉祥寺にはたくさんいるし、何かその人たちにできることがあれば僕が手伝いたい。それでつながった人たちがそれぞれで友達になったら楽しいじゃん?

 DRIPのメンバーも、「はじめまして」からみんなちゃんと仲良くなってるから面白い。集まった人同士は知り合いじゃないけど、みんな僕の知り合いだからそれぞれで仲良くなってる。そういう点でもDRIPはいいグループだなって思う。

 これからは武蔵野市開発公社っていう、市の外郭団体とまちづくり観点でコラボする予定もある。現時点ではメンバーそれぞれがやりたいことやってるけど、DRIPにも公共性を見出して活動していけたらいいよね。それにサイトの名前に「吉祥寺」ってワードを入れてないから拡張性もある。正直DRIP MAGAZINEは吉祥寺だけにとどまる必要ない。吉祥寺でできたコミュニティと似たようなものが他の地域にもできて、そこでもまた新たな若者のカルチャーが生まれたら最高だよね。

 吉祥寺は生活の一部だけど、もともとは杉並区の人間だから、ちょっと離れた視点からちゃんと「紹介」できると思うんだ。吉祥寺の街が好きっていうパッションは誰にも負けないけど、距離感は他の吉祥寺を紹介するメディアとは違うかな。最新情報にこだわらず、これからも吉祥寺の人と人をつなぐためにいろんな人を紹介していきたい。

 吉祥寺っていい街だから。この街で何かあればみんなで助け合えばいいと思う。この時代いろんな意味で支援ができるからこそ、コロナで大変だけど安全に楽しむ方法もある。僕はこの街が好きだから、この状況に遠慮して外で食べるのやめようとか外に出るのやめようとはならないかな。お金を落とすって言い方はあまりしたくないけど、できる範囲で吉祥寺って街をみんなで盛り上げていきたいと思うし、他の人もそう思えたらいいよね。

 街は人でできてる。残念ながらこの1年で潰れてしまったお店はあるけど、何かが終われば何かがあたらしく始まるから。始めたところにいろんな人が積極的に支援をしていけばもっといい街につながると思う。だからDRIPを見て、吉祥寺もっと盛り上げたいなとか、あのお店行ってみようと思ってもらえたら嬉しいな。

<Profile>
中村高太郎
好きな曲: Fayray「Better Days」
好きな映画: 「パルプ・フィクション」(1994)
好きなカフェ:ペパカフェ・フォレスト、カフェゼノン

文・写真:Tomoka Uendo

DRIP MAGAZINEでは全ての取材で感染対策を徹底し、距離を保って撮影しております。

コメント

タイトルとURLをコピーしました