吉祥寺のセレクトショップとじこみへの愛を語る
原色

吉祥寺のセレクトショップとじこみへの愛を語る
原色

この連載はDRIPメンバーの「愛」をテーマに、吉祥寺の好きな場所や時間についての個人的な記憶と感情を綴っていくストーリーです。第一弾は原色による、セレクトショップとじこみのストーリーです。

原色
原色

はじめまして、原色です。ふだんは都内の大学で社会学を勉強しています。きれいな色と柄、キラキラ光るものを身に着けると元気になります?✨

吉祥寺にだいすきな空間があって、それはわたしにとってかなりオアシスというか、ユートピアというか、ハピネスと愛にあふれた場所なので、ほんとはこんなところで紹介したくもない気がする。しかしさいわいなところ(?)DRIPのwebサイトにはまだそこまでの人が訪れているわけでないから、わたしはこの場を借りて吉祥寺の最愛空間、とじこみへの愛を綴りたいとおもいます。

「とじこみ」は2014年12月に吉祥寺北町に誕生したちいさなセレクトショップです。白い外装に手書き文字みたいな看板がかわいいお店で、店内にはデザイナーさん、作家さんによる一点物のお洋服やアクセサリーが置いてある。

とじこみのオープン当時中学生だったわたしはいつも塾の行き帰りにとじこみさんの前を通っていて、真っ白なお洋服ばかりが詰めこまれた、住宅街の中ではちょっと異質なこの空間のことがずっと気になっていた。

ある日えいやって扉を開けてとじこみの店内に足を踏み入れてみて、そこに流れるやさしくてのんびりとしたすてきな時間を知ってしまってからはずっと、1月に1回くらいのペースでお店に通っている。あのとき中学生だったわたしも大学生になった。

わたしのいうところの通うっていうのは、それなりにちゃんとした儀式(?)のようなもので、ほんとに気分のいい土曜日の午後とかに、いいじぶんでいられるお洋服を着て、行くぞ!ってわりと勇んでとじこみに向かう。お店の扉を開けて、オーナーの堀井さんご夫妻、聡さんと未沙都さんにごあいさつしてちょっと安心する。

ここはセレクトショップ!とかお洋服屋さん!っていうよりも、聡さんと未沙都さんのスペースにお邪魔しているような感覚が強い場所だ。ふたりのだいすきなものへの愛がたくさん詰まったとびきりの空間をシェアさせてもらっているような。その空間は時間の流れがゆっくりとしていて、やさしくて、そこにあるものを身に着けているとほんと毎日元気になる、ありがとう。

まず入ったら店内を1周して、それだと全然足りないのでもう一回くらいまわってみて、やっと置いてあるものが何となく把握できてくる。

とじこみ店内全部が展示スペースみたいになっていて、よく見ると棚のはじっこに「つめをぬるひと」のつけ爪が飾られていたり、天井からはキーホルダーが吊り下げられていたり、足元にまでぬいぐるみが置いてあったりするからけっこう注意深く見る必要がある。そんなことをしていると1回の来店で軽く1時間を超えてしまう。

高校生の頃なんかはアルバイトもしていなかったから欲しいものがあってもほとんど買えなくて、それでもそれなりの頻度で通ってはじっとりと滞在していたからご迷惑かな申し訳ないな~とおもっていた。だけど聡さんと未沙都さんとてもやさしくて、当時のわたしは絶対買えないような数万円もするワンピースを試着させてくださったりしていて、本当にありがとうございました。

このとじこみ2周年記念のmagmaとのコラボキーホルダーは高1のときに買ったもの。あまりにも好みというか、すぐにびびっときたアイテムで、見つけてすぐに欲しくなってしまった。でも即決できるほどお財布に余裕がある高校生ではなかったから、何回もお店に通ってずっと眺めて迷っていて、5回目くらいでやっと買った。いまでもおまもりみたいにだいじにしていて、傷つかないように部屋に飾って毎日ながめている。このキーホルダーをつくっているmagmaというアーティストグループのことはとじこみで教えてもらってだいすきになったんだけど、異質なものたちを組み合わせて新たな秩序をつくりだしてしまう熱量と、ノスタルジックな近未来とでもいうべきシュールでポップな世界観の強度が高すぎてしびれる。そのとき以来展示を見に行ったりとかグッズ買ったりとか、おだやかにずっと追い続けているアーティストユニットだ。最近だと銀座のドーバーストリートマーケットのBRAINDEADというブランドのディスプレイをつくっていた(これはとじこみの聡さんに教えてもらって知ったのだけれど)。

それからこのワンピースは、はじめてとじこみで買ったお洋服なんだけど、天使か鳥みたいな袖が本当にかわいいくてひとめぼれしてしまったもの(友だちにはエビフライって言われた)。このときにはわたしも大学生になってアルバイトをしていたので、たしか試着してすぐに買ってしまった記憶。鏡の前でくるくる合わせていたら未沙都さんがこのワンピースの作り手であるhanacoさんについて横で教えてくれて、そしたら会ったことないのにhanacoさんのスタイルとかマインドとかにちょっと近づけたような気がして、ワンピースへの愛着はさらに加速した。これを着て何回かお出かけしたけど、いつ着ても最高の気分になれる。ちょっと飛べそう。

とにかくとじこみはわたしにとってはただのお洋服屋さんじゃなくてそれ以上というか。だいすきなものにあふれた空間で過ごす時間、聡さん未沙都さんとお話ししながら鏡の前でそれらを合わせてみる時間がほんとにしあわせで、いとおしい。そしてとじこみで買ったアイテムはその後もあたたかなエネルギーを放ちながら、愛とかやさしさとか記憶とかことばとか、ぜんぶぎゅっととじこめて、今日もわたしのまいにちをキラキラに彩ってくれる。

ちょっと憂鬱なことがあっても、わたしにはとじこみという場所があるからなんとかやってこって思える、そんな場所です。

こんなすてきな空間が吉祥寺に存在していてほんとによかったな。

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「とじこみ」
HP:tojikomi.com
Online shop:tojikomi
Instagram:tojikomi
住所:東京都武蔵野市吉祥寺北町1-2-12 小美野ビル1F店舗
営業時間 :12:00~20:00
※定休日:水・木曜日

文: 原色
写真: 中村高太郎

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