みんなが1日の中でNAMISUKEのこと考えてくれたら素敵じゃん!?
美酒佳肴NAMISUKE店主 小宮 伸介 

みんなが1日の中でNAMISUKEのこと考えてくれたら素敵じゃん!?
美酒佳肴NAMISUKE店主 小宮 伸介 

10月のある日、取材をするためにNAMISUKEの店舗を訪れた。店の前で待っていると、伸介さんが両手を広げてやって来た。彼は会う時、必ずハグをしてくれる。ハグって日本人が1番慣れない挨拶だけど、実際すごいエネルギーを感じるし、すぐに仲良くなれる気がする。知り合って数回しか会っていないのに、彼はもう地元のお兄ちゃんのような安心感である。さて、今回の主役はヨドバシ裏、NAMISUKEの店主・小宮伸介さん(26)。吉祥寺で店舗を経営しながら、人気漫画「ワカコ酒」の料理を監修するなど、多方面で活躍している。先日4周年を迎えたNAMISUKEと小宮伸介さんの魅力に迫る。

お店を開く前はアメリカに行こうと思ってた

ーー地元は西伊豆なんですよね?

そう、俺のこと知りたかったら西伊豆に来てよ!西伊豆ハンパないから。

ーーぜひ、行きたいです!どんな子供時代でしたか?

うちの実家が西伊豆の堂ヶ島ってところでペンションをやってるんだよね。
家がお小遣い制じゃなかったから、「働かざるもの食うべからず」で小6からバイトしてたのね。最初のバイトが、ダイビングショップで、給料の代わりにダイビングのライセンスを取らせてもらった。その後釣りのガイドやってて、貸し竿が1本1000円なんだけど、半分もらえるわけよ。1回13人連れていくから、6,500円でしょ?学校行く前、朝6時に起きて、7時半までで6,500円もらえるわけ。そんな感じでずっと商売してた。

ーーすげえ… 東京に出てきてからは?

18の時東京に出てきて、立川の「我楽多家」(居酒屋)に就職したり、19から20までは国立で「SAKETER STATION」っていうお店を任せてもらったりしてた。お金も溜めてたから、2年間アメリカに行こうって決めて、ビザまで取ってたんだけど、やっぱり23で独立したいと思って、吉祥寺で物件探した。知り合いのツテでいまの物件を紹介してもらって、内装も友達とか呼んで、自分たちで作ったのよ。それでいま4年目になる。

現状維持は人の死と等しい

ーー最近お店はいかがですか?

昨日もお客さんと話したんだけど、1年1年良い方向に更新されていってて、昔から通いつづけているお客さんもいるんだけど、常に新しいお客さんが来てくれてる。

ーーそんなに人が来るのは、やっぱり伸介さんの人柄なのでは?

いや、俺にはまったくわからない。俺に魅力なんてないっしょ(笑)。ただ、俺は人のために生きてる。(お店に)来てもらってる人とか、自分のこと良くしてる人に「何かして」って言われたら、もうYESマンだから絶対やるよ。有償でも無償でも。

お客さんとの繋がりで誘われることも結構多い。その中でも武蔵野大学とのやつがむちゃくちゃ面白くて、俺が海洋実習の講師として呼ばれたのね。学生80人を西伊豆に5泊6日連れて行って、火起こし、イカの捌き方、レタスの剥き方とかを、ギャルとやるっていう。僕が前に立って教えると、「えー!せんせー!うわーすごい!」みたいな(笑)。俺は「え、せんせい??」(笑)。

特別に鯵を捌いて、お造りを振る舞ってくれた

4歳の誕生日プレゼントが出刃包丁で、目隠しでも捌けるとのこと

シンプルながら、これが一番美味しい

ーーお客さんとの繋がりがすごいですね。

多分ここのお客さんだけで家建つと思うよ。ここだけで人脈集めて、ちょっと家建てたいんだけどとか、何かやりたいんだけどってなったら実現できる。法律系の人とか税理士、銀行、商社の人もいるし、なんでもできる。実際いまキャンプ場作ってるよ。とにかく色々やってるよ。

ーーその原動力になるものは?

俺の中でのモットーは、「現状維持は人の死と等しい」。だからいろんな興味のある分野に首を突っ込んでいたいのよ。前に進んで変化を求めるのが、常に自分の教訓。俺は23までに独立したいっていう夢をかなえて、そこで天職だねって言われることは多いけど、好きなことを好きでい続ける方が難しいと思う。嫌なことだったら、マイナスからスタートだから良いことがあったら楽しいけど、常に良いことなのにそれを好きでい続けるのは大変。

誕生日にいただいたというお花が飾られていた

1日の中でNAMISUKEのこと考えるってヤバくない!?

ーーお客さんと接する上で心がけてることは?

ほら、やっぱりお客さんが来てなんぼの仕事でしょ?お客さんがどうしたら来てもらえるか、どう楽しませるかってことを徹底してるし、俺がカウンター入ったらエンターテイナーとしてやってる。俺、素は根暗だし、家帰って映画とかしか観ない。嫁にも「お店にいる時はしんちゃんめっちゃ喋るね」って言われる。

ーーそれでみんなNAMISUKEと伸介さんが好きになっちゃう。

朝起きて一発目何しようか、とりあえずNAMISUKE行こうかなっていう安心感、ヤバくない!?お客さんが1日の中で、NAMISUKEのことを考えるのってヤバいじゃん!?むちゃくちゃ素敵じゃん!そういうのを増やしていきたいね。

吉祥寺は「村」

ーー吉祥寺はどんな街だと思います?

やっぱりみんな「村」って言ってるよね。たしかに人と人との距離感の近さは絶対的にある。だけど、どこかドライというか、目で見たものを信じてくれる街だなって思う。食通の人が多いし、音楽の文化も凄い深い。一人で行っても絶対あったかいし、楽しくて酔っ払って、すいません、みたいな感じでしょう?(笑)。都会の田舎じゃなくて、田舎の都会なの、ここ!

ーーこれからの目標はあります?

飲食の仕事で10億稼ぐのは目標。あとは、愛されるお店作りと店舗展開かなあ。人のためになりながら、人が喜ぶ場所とか、人があつまる場所を作っていければいいかな。

ーー吉祥寺に足りないものありますか?

俺の店!

取材中、幾度となく知り合いが通りかかり、その度に立ち話をする伸介さん。その様子を見ると、どんな人とであっても常に笑いが絶えない。まさにここは1つのお店であって、1つのコミュニティーでもある。彼が「毎日でも行きたいお店を作る」と言っていたように、みんなNAMISUKEが大好きで、ふらっと来ては、最高の時間を過ごして、またねと言って帰る。その中心にいる伸介さんは店主であって、みんなの親友でもある。ここにくれば、最高に美味しい魚と料理、そして”最高”にあたたかい人たちに会えるだろう。

<Profile>
小宮 伸介
好きなお店:「 寿司屋千代谷」「テトラ・アパートメント・ストア」「bar Cheeky」

<お店情報>
美酒佳肴NAMISUKE
吉祥寺本町1-22-1
営業時間:19:00-28:00
(定休日や営業時間は変更になる可能性あり)

文・写真: 中村 高太郎

DRIP MAGAZINEでは全ての取材で感染対策を徹底し、距離を保って撮影しております

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